2015年05月29日
嬉しげに相模屋が
離れでは、陽の当たる道を歩かせてやりたいと兄が望んだ月華が、相模屋の膝の上でゆっくりと弄られている。
相模屋の短い指は、湯上りの月華の寝間着の裾から割って入り、中心でうごめいていた。
「あっ・・・あっ・・・旦那さまっ・・・?・・」
さわさわと扱かれて幼い茎が、ゆるゆると起ち上がろうとしていた。
先端の滲んだ露を認め、嬉しげに相模屋が上下にこする指先に力を込めた。
「お可愛らしい月華さま。この相模屋の手に初めての吐精をして御覧なさいまし。」
「い、けません・・・旦那さ、ま。手を、手を止めて・・・」
はっはっ・・・と、声を苦しげに喘がせ相模屋の着物を掴み、月華の全身は総毛だって震えていた。
「旦那さま、いや、いや・・・粗相をしてしまう・・・」
「お小水を零したら、羽二重の綺麗なお蒲団が・・・汚れてしまう・・・はな、してっ。」
身を捩り、這って逃げようとする少年の細腰を引き寄せた。
蒲団に貼り付けるように、両腕を頭上にまとめてしまう。
「いいから。お小水も、皆ここへ零しておしまいなさい。」
「いや、いや・・・。兄上に叱られる・・・はなして、はなして。」
眼前にある幼い武家のいたいけな姿が、愛おしかった。
陰間の濃い茎に比べるべくも無い、淡い薄い色の若い茎が切なげにふるふると怯えて揺れていた。
「波・・・が・・・ああぁ、月華を浚ってしまいます。旦那さま・・・こわい・・・しっかりと掴まえて、下さいまし。」
「いやーっ、さらわれてしまうっ・・・きゃあぁっ・・・」
激しく顔を振る月華の頬は、もうとめどない涙で濡れて、知らぬ世界を覗き見て上気した頬がどこか痛ましかった。
「・・・あぁ・・っ・・・月華の、お・・・小水が・・・出てしまうーっ・・・」
襲い来る快感を「波」と表現し、先端から零れ落ちる精を、粗相しそうな尿と思って悶え戦慄する少年を、相模屋は心から愛おしいと思った。
自分の思う色に染め上げる紫の上が、手に入ったと思うと切り餅の一つや二つくれてやるのは、大店の相模屋にはなんでもない。
「お可愛い月華さま。そのように泣かずとも、怖くなどありませぬよ。」
「さあ。お褥が汚れぬように相模屋が入口に栓をかってあげましょうね。」
細い腰を懐にきつく抱きこんで、薄紅に染まった細い茎を口に頬張った瞬間ぴくりと身じろぎ、ひゅと月華の喉が鳴った。
初めて口腔に捕らえられ、大きく見開かれた目が、驚愕に慄く。
「いやぁ・・・っ・・・!」
相模屋の腹が波打ち、月華の耳元に熱い息がかかった。
両手が、高く持ち上げられ相模屋の猪首に回った。
「だんな・・・さま・・・」
ふと、頑是無い大きな瞳が弓張り月の細さになったかと思うと涙ではなく「くくっ」と異質な笑い声が零れた。
どっと、脂ぎった顔が近づいてくるのを、軽くいなして月華は避けた。
倒れこんだ相模屋の、首の後辺り「亜門」と言う急所に深々と長い針が光る。
すっと右手で抜き取ると、再び転がった相模屋の心の臓めがけてとん・・・と留めを打ち込んだ。
見た目に似合わぬ、見事な早業であった。
「ふー・・・お別れですよ、旦那さま。」
「健気な稚児の仕草は、何度やっても疲れるの。さてと。」
畳のヘリから床下に針を落とすと周囲をうかがって、事切れた重い相模屋を押しのけ、息を吸い込み悲鳴を上げた。
「きゃあああぁあーーーーーーっっ。いやあぁあああっーーーーーっっ、誰かーーーっ・・・・」
駆けつけた番頭にひしとしがみつき、哀れな風情で泣き崩れればよかった。
「ああぁ~んっ・・・旦那さまぁ・・・ああぁ~ん・・・」
「あっ、これはっ!?」
「まったく、いい年をして年端もゆかぬ童にまで手を出そうとするから、このような末路になるのだ。」
「ああぁぁん・・・番頭さん、番頭さぁあん・・・えっ、えっ・・・・ん・・・」
「よしよし、これは中気の発作だな。おまえのせいなどではないから泣かずとも良い。」
泣き縋る美童は、しゃくりあげながら言葉も無く番頭の名を呼びながらかき付いていた。
襟元に紅い吸痕を認め、余りの労しさによしよしと飴など持って来て機嫌を取ってやった。
「えっ・・・えっ・・・兄うえ・・・に逢いたい・・・兄上ぇ・・・あぁんっ」
「よしよし、すぐに使いをやろうな。」
番頭は、相模屋の死を目の当たりにし、夜通し泣き濡れる用心棒の弟を宥めた。
くすんくすんと番頭の腕の中で啼きながら眠った、愛らしいいたいけな子どもまで、毒牙に掛けようとして情死したのだと使用人達は噂し呆れた。
誰も疑いようもないほど、相模屋の色好きは有名で、散らずに済んだ稚い美童は例えようもなく儚く愛らしく見えた。
Posted by weixingi at
12:54
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